宮城県川崎町にある青根温泉の湯元不忘閣に宿泊しました。
約470年前に滞在した伊達政宗公が、感動を忘れないように「不忘」と名付けたことが由来とされているそうです。
不忘閣には、大湯、蔵湯、亥之輔の湯、新湯、御殿湯(男)、御殿湯(女)の6つの湯船があります。
いずれも、新明号の湯、花房の湯、新湯、山の湯源泉、蔵王の湯、大湯の混合泉で、その泉質は、源泉温度50.9℃以上、pH=7.4の単純温泉です。
湯船によってブレンドを変えているのか、源泉使用位置温度が湯船によって異なります。
なお、正確な源泉温度は確認できませんでした。
不忘閣の湯船のうち、最も有名なのは大湯ではないでしょうか。
10年ほど前まで共同浴場として使用されていたものを建て直したものになります。
館内スリッパから草履に履き替え、倉の中に入ると、右手に湯船があります。
衣類は床に置きます。
湯船は非常に広く、数名は優に入れますが、是非とも貸切状態で入浴したいところです。
なお、大湯の源泉使用位置温度は49.1℃でした。
湯船も含め、浴室全体が青森ヒバで造られており、心安らぐ香りが漂います。
湯自体は、無色透明、無味無臭で、非常にやさしくなめらかな浴感です。
蔵湯は、貸切風呂として運用されており、空いていれば自由に入ることができます。
フロントの目の前にある木製の板を、蔵湯入口にある台座に移し、使用していることを明示します。
いくつかの蔵が繋がっており、一番奥が蔵湯の蔵になります。
蔵湯は、大湯ほどの大きさはありませんが、その存在感は甲乙付け難いものがあります。
ひのきの良い香りのする湯船に、少し熱めのお湯がなみなみと注がれています。
蔵湯の源泉使用位置温度は50.9℃で、最も高い温度となっています。
長湯できない貸切タイプの湯船なので、少し熱めの方が好都合かもしれません。
亥之輔の湯も、貸切風呂として運用されている湯船です。
こちらは、蔵湯のように木製板のルールはなく、ドアの鍵が空いていれば、使用することができます。
亥之輔の湯は、ドアを開けた先にある浴室内への入口が特徴的です。
茶室のように屈んで入ります。
亥之輔の湯は、不忘閣の湯船の中で最も小さい湯船です。
源泉使用位置温度は48.4℃です。
湯量が絞ってあるためか、湯船は長湯できる温度になっています。
新湯は青根温泉で大湯に次いで2番目に古く、1528年頃にまで遡ります。
明治時代に、共同浴場だったものを不忘閣所有としたそうです。
この石組みの浴槽は、政宗公をはじめ、伊達藩主が入浴した頃から変わっていないのだとか。
源泉使用位置温度は50.1℃ですが、熱い湯船という印象はありませんでした。
御殿湯(男)は、ゆったりとできる大きさです。
シャンプーやシャワーがあり、通常の内湯という位置づけのお風呂です。
御殿湯(女)は、貸切タイプかと勘違いしてしまうほどの小ささです。
どちらも源泉使用位置温度は49.7℃です。
なお、御殿湯(男)と御殿湯(女)は、時間によって入れ替わります。
朝食後、敷地内にある「青根御殿」の観覧ツアーが組まれています。
青根御殿は、江戸時代に設けられた藩主専用の湯治場ですが、現在の青根御殿は、明治時代に焼失したことにより昭和初期に再建されたものです。
青根御殿には、伊達家ゆかりの品々が展示されています。
また、過去に宿泊した与謝野鉄幹、晶子夫妻や川端康成の書も展示されています。
さらに、写真を撮り忘れてしまいましたが、山本周五郎は不忘閣で「樅ノ木は残った」を執筆し、その題名にある「樅の木」を青根御殿から望めます。
不忘閣は、良質な温泉の他に、伊達藩の歴史を味わえる素晴らしい旅館だと思います。
自信を持っておススメできる旅館です。
宮城県柴田郡川崎町青根温泉1-1
営業 日帰り入浴不可
料金 日帰り入浴不可